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やっぱり俺は馬鹿なんだと思う。

7 催促 

「長谷部〜、例の件、どうなった?」
 橋川さんが食いかけの焼き鳥の串を俺に向けた。何のことか思いつかなかった俺を見て、鳥羽が呆れた顔で言った。
「篠田さんの件だよ」
「そうそう、それ。だいぶ経つしさ、仲良くなったみたいだし、そろそろさ」
 にやりと笑って思わせぶりな目をしたが、答えない俺を見てあからさまに馬鹿にした。
「おいおい、まだかあ、まじかよ。ったく、なさけないねえ、長谷部くんよ」
 つきあいだしてから2ヶ月過ぎていた。確かに、まだキスしかしてないんだけど、それもこの二人に正直に言うのはためらわれた。
「あのくらい、すぐ落とせるだろ? どうせ男日照りなんだからさ、若い男が寄っていったらほいほい、ってなもんじゃねえの?」
「男の気配、全然ないですよね、色気もないし。見合いの話とか来ないのかなあ。聞いてないの? やっぱりすごくガード固い?」
 言いたい放題の二人の言葉を聞いているうちに、いらいらしてきたけど、ごまかした。
「……知らないです。あんまりそういうこと話さないから。まあ、そういう感じで」
 それだけしか言いたくなかった。篠田さんのことをそれ以上、この二人に口にしてほしくなかった。


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