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やっぱり俺は馬鹿なんだと思う。

3 悪魔の企み

 あのとき、俺達は酷く酔っぱらっていた。独身男3人の飲み会なんて、最後は仕事の愚痴か女性の話だ。俺と同期の鳥羽と2年上の橋川さんは、課の飲み会のあと、二次会と称して飲んでいた。今日こそ朝まで飲んでやる、なんて言ってたのは、厄介な仕事がやっと片付いたからだ。
 毎度のことだが、橋川さんの強引さと女好きには呆れる。二股かけてる上に、さらに風俗に行くのも欠かさないという話を得々と語るあたり、女性の敵だな、この人は。それでも、仕事ができて、ルックスも割といいから、もてる。世の中、間違ってると思いたくなる。鳥羽の感覚も確実に橋川さん寄りだ。
 俺だって女の子は好きだけど、本当に好きな子だけの方がずっといい。でも、そんなこと言うと、橋川さんに睨まれそうなので、言わない。
「そういえばさ、お前ら、処女とやったことある? あれはあとが面倒臭いけど、やるまでが面白いんだよなあ、いろいろとさ」
 急に橋川さんが話題を変えて、にやっと笑った。俺達は顔を見合わせた。渋々、答えた。
「ないです」
「俺、ある」
 二人が優越感を隠さない笑みを浮かべて俺を見た。嫌な予感がした。
「そういうのはやっぱり、経験しとかないと、男としてどうよ。な? 長谷部」
 悪魔に笑いかけられた気がした。
 その夜、結局、俺は悪魔たちと約束をした。篠田さんを俺という悪魔の生贄にするという約束をだ。

 一人暮らしの部屋に帰る。買ってきた弁当を食べて、風呂に入って寝る。週末にゲームしたり、飲みにいったり、ずっと寝てごろごろしてたり。就職してからずっとその繰り返しだった。このままなのかな、彼女欲しいなあ。そんなことを考えても、行動する気力がなかった。本当にへばってたんだ。橋川さんに逆らい切れなかったのは、それもあったのかもしれない。


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